徴収される保険料と受給額の関係
国民年金保険料は毎年微調整されており、支給額は物価に合わせた変動(マクロ経済スライド)が適用される。
ここでは制度の枠組みを説明することを主旨とし、保険料徴収時と年金受給時の保険料及び物価変動は考慮せず算出している。
「厚生年金の場合」
年収550万円の会社員が1年間で納める厚生年金保険料は100万円(2025年度保険料率18.3%)。25歳から65歳まで40年間を年収550万円で働いた場合、約4,000万円を保険料として納めることになる。65歳から85歳まで受給の場合、月額16.7万円/年間200万円支給されれば元本割れにはならない。
「国民年金の場合」
国民年金の保険料は収入に関係なく、月額1.7万円/年間21万円(2025年度保険料額)。25歳から65歳まで40年間納めた場合、約840万円を保険料として納めることになる。
厚生年金と異なり満額(未払い期間がない)の支給額は定められており、月7万円/年間84万円(2025年度支給額)とされているため、65歳から85歳まで受給した場合、1,680万円が支給され、元本の2倍受給できる。
当然、国民年金加入者の保険料収入では支給額に不足するため、厚生年金保険加入者から徴収した保険料と、国庫(税金)から支給されている。
「年収130万円以下の主婦・主夫の場合」
「厚生年金加入者の配偶者」においては、国民年金保険料・厚生年金保険料いずれの支払いがなくとも、国民年金の満額が支給される。国民年金保険加入者から徴収した保険料、厚生年金保険加入者から徴収した保険料、国庫(税金)から支給されている。
「調整弁」としての厚生年金
このように、厚生年金保険加入者から徴収した保険料は「調整弁」としての役割を大きく担っている。
「厚生年金加入者の財布」から「国民年金の財布」、「年収130万円以下の主婦・主夫の財布」へ毎年莫大な金額が仕送りとして移還されている。
年金はいつから受け取れるのか
いまでは当たり前とされている「65歳」の受給開始年齢について
いまの高齢者が現役世代だった時代、だれもが「60歳に定年を迎えて年金が支給される」と信じていた。60歳の定年をゴールとして人生設計を描いた国民に対して、1994年、2000年の法改正で受給開始年齢を65歳にずらし、それにあわせられない高齢者には「繰上げ減額」として生涯にわたって受給額をカットするペナルティーを設けた。
いまでは、65歳の受給開始にあわせられない高齢者を「計画性がない人」「標準を守れずイレギュラーを求めるわがままな人」として自己責任論へすり替える向きもある。
少子高齢化の日本において給付削減がなされるのは仕方がない面も強い。
- 受給開始を65歳までずらすことによる給付削減
- 繰上げせざるを得ない高齢者による「自らの選択による繰上げ減額」
いずれの場合も、これまで支払った保険料を返してもらうだけにしては、理不尽な条件を突きつけられているように見える。しかし、10年もすれば受給開始年齢は70歳まで後ろにずらされ、これに耐えられない高齢者には繰上げ減額による給付削減が適用されるだろう。
そしてこの先20年、30年後にはもっと厳しい受給条件が課せられているかもしれない。
日本の年金制度は賦課制度(その時々の現役世代がその年の年金支給額を負担)であるため、自分が保険料として納めた金額が「自分の受給額」へ反映される保証はなく、きわめて信頼性の低い制度となっている。
「どれだけ減額されるのか」
65歳を基準として、1ヶ月早めるごとに0.4%(年間4.8%)、本来の支給額から減額される。
60歳で受給を開始した場合は、生涯にわたり24%減額された年金を支給されることになる。
本来の支給額が月額16.7万円/年間200万円であった場合は、月額12.7万円/年間152万円へ減額される。